◾️開催地:富士スピードウェイ
◾️開催日:2025/5/30-6/1
2025スーパー耐久シリーズの第3戦、富士24時間レースは5月31日~6月1日に開催された。水曜日のスポーツ走行枠では、前戦で発生した燃料系トラブル対策と24時間レースに向けてメンテナンスの施されたマシンに伊藤、三上、そして今年もFドライバーを務める近藤が乗り込んで、トラブル解消の確認とNEWエンジンの慣らしを行った。木曜日の専有走行では夜間占有走行も利用して、エンジン回転を上げつつ5月8日の合同テストで見つけたマシンセットアップをベースに調整を進め、タイヤライフ確認と近藤のマシン習熟を行った。迎えた金曜予選日は午前中、予想通りの雨模様となった。前日の専有走行ではAドライバー予選時には雨が残る可能性が高いと判断しタイヤのスクラブを行っていたが、この予想は外れ、予選開始時は気温18度、路温21度の曇り空、路面はドライコンディションとなった。浅野はスクラブタイヤの為、はじめからグリップの高い特性を生かしてアタック1周目に1分58秒074をマーク、2周目にさらに好タイムが予測されたが、ダンロップコーナー立ち上がりで前車にひっかかった為アタックを中断、1周目がベストタイムとなった。Bドライバー予選では開始早々赤旗が出る展開となったが、伊藤はセッション再開後、冷静にアタックをまとめ、アタック1周目に1分56秒759をマーク、AB合算の予選順位は4位となった。C~Fドライバー予選では燃料を多めに乗せてUSEDタイヤで走行、あくまで決勝を想定した状態で各ドライバーの習熟を行った。
予選4位
【Aドライバー浅野武夫:1分58秒074】
【Bドライバー伊藤慎之典:1分56秒759】
決勝:5位
【浅野武夫:80周】
【伊藤慎之典:110周】
【三上和美:67周】
【藤原大暉:98周】
【芝 叔和:98周】
【近藤尚史:33周】
今回の24時間の決勝レースは、昨年と同様に給油は容量20Lの指定給油ボトル使用となり1回のピットストップでの最大給油量は3本60Lまで、また昨年同様に110秒のピットストップが課せられることとなる。タイヤライフとピットストップ時間を勘案すると、ドライタイヤをダブルスティントとするメリットが出ないため、今回の基本戦略はボトル3本満タン給油+タイヤ4本交換を基本として、24時間を6人のドライバー計15スティントでつないでいくこととなった。またAドライバーの最低運転時間はレース時間の15%以上、そのうち65歳以上のドライバーはその20%が免除される為、浅野の最低運転時間は2時間53分となり、残りの43分はC、E、Fドライバーが受け持つこととなる。今回のスタートドライバーはDドライバー藤原、選ばれたその理由はウエットまたは雨混じりの難しいコンディションを得意とするからであったが、スタート時間の15時はかなりの雨量で、コンディション不良の為、スタート時刻は16時へとディレイになった。路面は完全なウエット、気温、路温共に17℃の雨模様のコンディションで23時間レースが始まった。5周のSCランの後、藤原はコンスタントに2分06秒~08秒台でラップを重ねてゆく。
ウエットコンディションにマシンセットアップがあっていなかった為、11周目には7位まで順位を落とすものの、雨がやみ路面がドライアップして徐々にペースが落ちてゆくライバル達に対し、藤原はその差を詰めていき、32周目のホームストレートでは66号車をパスして6位へ上がると、前を行く216号車を追いかけてゆく。39周目、藤原は216号車の背後まで迫るが、40周目のホームストレートで216号車はそのままピットインした為、藤原は5位へ浮上し前を行く60号車を追いかけてゆく。42周目頃から雲の合間から日差しが差し始め、路面は急激に乾いて行く状況となった。44周目には60号車がピットイン、そして藤原は41号車、3号車と共に45周目にピットインしては伊藤へと交代、タイヤ4本交換とボトル給油3本でピットアウトした。伊藤は6位でコース復帰すると、48周目には早くも2分00秒台で走行、2分00秒~02秒台で安定して走行を重ねた。
伊藤は52周を走行、各車ピットインの関係で1位まで浮上し97周目にピットインして三上へと交代、4本交換とボトル給油3本でピットアウトした。三上は初めてのナイトセッション、本人にもチームにも若干の不安があったが、2分01秒~02秒台で安定して走行して素晴らしい成長を見せた。120周目視界不良の為FCY導入、121周目SCとなり、視界が改善するまでSC走行が続く見込みとなった。123周目、ここでチームはピットインを決断、三上から浅野へと交代、4本交換とボトル給油3本でピットアウトした。燃料は完全には入りきらなかったものの、SCを利用してロスを最小限にとどめる作戦となる。浅野は6周のSCランの後走行を開始したものの133周目には1コーナーでコースアウト、スピンを喫してしまう。浅野は2分1秒~3秒台で走行を重ねるが、141周目浅野から、「5速にはいらない」との無線が入った。オイルポンプスイッチを切って温度を上げる対応で多少は改善の兆候がみられたが、徐々に症状が悪化し156周目、霧による視界不良と216号車が追突されたことによるFCY導入からのSC走行となったタイミングで浅野はピットイン、そのまま10分間のメンテナンスタイムに入った。浅野はマシンを降りるとレーシングスーツ姿のままマシンチェック、マシンの下へともぐりこむ。
チームは作業開始から約40分でミッション交換、ブレーキパッド交換、エンジンオイル交換を行い、ボトル3本満タン給油とタイヤ4本を交換、ドライバーは浅野から藤原へと交代してピットアウトした。1周後、藤原は再度ピットインしてマシンチェック、霧による視界不良でSC走行中のコースへと復帰した。178周目、SCランがあけると藤原は2分00秒~02秒台で周回を重ねていく。藤原は187周目に1分59秒765をマークすると2分00秒~02秒台で安定してラップを重ねてゆくが、206周目視界不良の為再度FCY導入となり、209周目SCランとなった。211周目、ここでチームはピットインを決断、藤原から芝へと交代、4本交換とボトル給油3本でピットアウトした。燃料は完全には入りきらなかったものの、前回と同様にSCを利用してロスを最小限にとどめる作戦であったが、ここで赤旗が出てしまう。約50分間の中断の後、SCランでレース再開、3周のSCラン後、芝はすぐに2分00秒台をマークすると、2分01秒~04秒台で安定してラップを重ねてゆく。258周目、芝はピットインして伊藤に交代、4本交換とボトル給油3本でピットアウトしたが、ここでまたも視界不良の為SCランとなった。18周、1時間を超えるSCランの後レースは赤旗中断、この中断は約2時間45分も続き、午前7時30分レース再開、5周のSCランの後、伊藤はすぐに2分00秒台をマークすると、290周目に1分59秒601をマークして1分59秒~2分01秒台で安定してラップを重ねてゆく。
316周目、伊藤はピットインして三上に交代、4本交換とボトル給油3本でピットアウトした。三上はすぐに2分00秒台をマークすると、2分01秒~03秒台で安定してラップを重ねてゆく。3号車がST-Zクラスの885号車に追突されてピットイン修復作業となった為、三上は5位へ浮上すると358周目、ピットインして芝へ交代、4本交換とボトル給油3本でピットアウトした。芝は2分01秒~03秒台で安定してラップを重ねてゆく。400周目、やはり速さに勝る3号車にオーバーテイクされ6位となるも408周目、芝はピットインして近藤に交代、4本交換とボトル給油3本でピットアウトした。レースも残り3時間を切り、近藤は2分05秒台で慎重にラップを重ねてゆく。441周目、近藤はピットインして浅野に交代、4本交換とボトル給油3本でピットアウトした。レースも残り約1時間30分、浅野はマシンの状態を確かめつつプッシュしていく。2分01秒~02秒台でラップを重ねると、レースも残り約15分となったところで、60号車がマシントラブルの為スローダウン、ピットインした。60号車とWedsSport GR86は約13周差であり、60号車は最後チェッカーを受けて何とか完走を果たそうしたものの、アウトラップの100Rでエンジントラブルの為マシンストップとなった。そして15時01分、WedsSport GR86はTOTAL486周を走破して5位で24時間レースのチェッカーを受けた。
【チーム監督コメント】
浅野 真吾
「富士24時間は毎年特別なレース。お祭りでもあり、チーム力が試されるレース。そんな中、予選終わりにエンジントラブル。決勝では早々にミッショントラブル。それでもその後はドライバーの着実な走りで無事完走。結果こそ残せませんでしたが、ドライバー、メカニックのチーム力は見せられたと思います。今のチームはとても雰囲気も良く、素晴らしいチームになりました。だからこそ結果が欲しい。次戦に向けて表彰台に上がれるように更に強いチームにしていきます。応援ありがとうございました。」
【ドライバーコメント】
浅野 武夫
「今年の24時間は色々とWedsSport GR86に手を加えレースに臨みました。練習から車の調子が良く、予選に挑みましたが、遅い車にベストのアタックを阻まれてしまい残念だったものの、感触は上々でした。決勝は暗くなった時間帯からの走行で、ライン上は乾いているがラインを外すとグリップしない状況で思わずスピン、気を付けていないと難しいコンディションでした。その後トラブルからミッション交換する事になり悔やまれます。 最後の走行はチェッカーまで車の調子は良く楽しんで走れたのですが、『まだ何か足りない』といろいろ考えながら走りました。また、ライバルが最終ラップに止まったのを見て、レースの難しさを感じました。沢山の応援、支援をありがとうございました。」
伊藤 慎之典
「今年もやってきた24時間レース。去年よりも公式テストの段階から車の調子も良く自分自身も期待してレースウィークに臨みました。24時間レースは車を労ることもいつも以上に必要になるため水曜の慣らしから丁寧に走らせることを意識していきました。予選は1周アタックさせていただきましたが、納得のいくタイムにまで届きませんでした。長丁場のレースでの予選はそこまで大きな影響はありませんが悔しかったです。決勝は前半でトラブルが出てしまい大きく後退してしまいましたが再び走り出すことができ5位でチェッカーを受けることができました。懸命に修復してくださったメカニックの方々には本当に感謝しています。ありがとうございました。次戦はオートポリスでの5時間レースとなります。1発の速さ、決勝でのラップペースの両方追い求めて表彰台にのります!武夫さんと表彰台に立ちたい!勝ちたい!という気持ちをもう一度チーム全体で共有して挑みたいと思います。応援よろしくお願いします。」
三上 和美
「24時間耐久レース、優勝を目指してチーム一丸となって挑みましたが、残念ながらその想いを叶えることはできませんでした。それでも、武夫さんが丹精込めて仕上げてくださったマシンで走れたこと。そして、このメンバーと共に最後まで闘えたこと。そのすべてに、心から感謝しています。マシンを降りた直後、すぐに修復作業に取りかかる武夫さんの背中には、ただただ尊敬の念しかありません。昼夜を問わず全力を尽くしてくださったメカニックさん、チームメイトのおかげで、無事にチェッカーを受けることができました。本当にありがとうございます!また、いつも応援してくださっているスポンサーの皆様、ファンの皆様にも、深く御礼申し上げます。次戦オートポリスでは、再び表彰台の中央を目指して走り込みを重ねてまいります。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。」
【チームよりお知らせ】
スーパー耐久レースレポートが、Cドライバー三上和美の執筆によって
モータースポーツ情報サイト&Raceコラム – &Race (andrace.jp)に掲載されております。ぜひご覧ください!
藤原 大暉
「富士大会は別日に設けられた公式テスト時から積極的にセット変更をしました。感触もよく、自信を持って富士大会に挑むことが出来ると思いました。レースウィークは部品を一部変更したことによるセッティングの合わせこみはあったものの、常に感触はよく走ることが出来ました。決勝は雨が降っており、ドライのセッティングのままスタートしたため雨量が多い時はかなりペースがきつく、順位を落とす形となってしまいました。しかし雨からドライアップする方向だったため、タイヤのマネージメントをしつつ前車とのタイムが逆転するところでプッシュをかけました。結局順位を取り返す所までしか行けませんでしたが、路面が乾いてからはペース良く走れていたと思います。ミッショントラブルによるミッション交換で勝負権は失ってしまいましたが、チーム一丸となって最小限のロスでコースに戻してくれました。ピット作業や走行時のペナルティも無く、全員が力を出し切ったベストレースだったと思います。毎戦18号車も良くなっていてあとは結果に繋げるだけです。次戦はオートポリスとなりますが、自分が持っている力を存分に発揮出来るようにこれからも頑張ります。富士大会の応援もありがとうございました。次戦の応援も引き続きよろしくお願い致します。」
芝 叔和
「今年は、浅野レーシングサービス50周年ということもあり、何としても武夫さんを表彰台にという思いで臨みました。昨年の富士24時間以来、約1年ぶりのマシンでしたが、まず感じたのが、非常に高いレベルで、バランスが取れているマシンに仕上がっているということでした。このレースから追加された、フラットシフトとオートブリッピングに若干戸惑いましたが、全体的には良いイメージでレースを迎えることができました。決勝レースでは、天候による長時間のSC、赤旗による中断により、作戦は大きく変更を余儀なくされましたが、その中で夜間と朝方の2スティントを担当させて頂きました。夜間のマシントラブルにより、ライバルに差をつけられてしまい、当初の思いは叶えられませんでしたが、それ以外は作戦面、メカニック、ドライバーが最高のパフォーマンスを出せと思います。これもチームを支えて頂いているスポンサーの皆様、スタッフ、家族のお陰で、大変感謝しております。私自身の参戦は、昨年同様にこの富士のみですが、次戦以降も浅野レーシングサービスをよろしくお願いします。」
近藤 尚史
「昨年より2回目の富士24時間レースに、浅野レーシング様より参加させて頂きました。1年ぶりのレース参加となりましたが、武夫さんをはじめとするチームスタッフの皆様に温かく迎え入れていただき、大変快適にレースに参加させて頂きました。天候の悪化に見舞われたレースでしたが、ゴール日の日中に1スティントを担当させて頂き、トラブルなく最終スティントの武夫さんへバトンタッチすることができました。満足のいく走行とはなりませんでしたが、最低限の目標であった無傷での完走を果たすことができました。走行している中で自分よりも年上の方が少なくなってきましたが、武夫さんと共に過ごす中で刺激をいただき、自身の精進がまだまだ足りないと痛感いたしました。このような素晴らしいチームでレースに参加できたことを感謝申し上げるとともに、浅野レーシング様の益々のご発展をお祈り申し上げます。」